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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 10-1

[10] 「高藤が授業さぼったってなにがどうしちゃったんだろう」  その台詞、六回目、と指摘するのを諦めて、行人は「そうだな」と六回目になる相槌を打った。  あの高藤がハルちゃんに掴みかかった挙句に授業をさぼって消えたらしい、という話は、五時間目と六時間目のあいだの休み時間に自分たちの教室にも伝わってきていた。まぁ、話が話な上に登場人物が登場人物なので、伝達速度が異常だったことは仕方がないと思う。思うのだけれど。  ――その話聞いてから、ずっとこうだもんなぁ。  ぶつぶつと呟き続けている四谷を、行人はちらりと見やった。そう、ずっとこの状態なのである。 「あのさ、今から向こうのクラス行くのは、まぁ、やめといたほうがいいと思うけど、寮に帰って話聞いてみたら? もう放課後なんだし」 「話聞いてみたらって、それができるんだったら、最初からこんなところでうだうた言ってないし。……っていうか、榛名はなんでそんなしらっとしてるわけ?」 「いや……」  そういうわけでもないのだが。非難がましい視線に射られて、行人はぎこちない笑みを張り付けた。  べつに、心配していないわけじゃない。ただ、心配で死にそうな顔をしている四谷を見ているうちに、妙に冷静になってしまったというだけで。

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