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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 10-3

「あのさ。すごい勝手なこと聞いていい?」 「え?」  そう問いかけられて、行人は慌てて顔を上げた。いったいなんなのだろうと思っているうちに、四谷は一息に話し始めた。その視線は微妙に行人から外れていたけれど。 「勝手、というか、踏み込んだ、というか。あの、こういう言い方するとまた気持ち悪いかもしれないけど、俺、高藤のこと好きだったから、ずっと見てたんだよ。それで、その近くにいた榛名のことも、ずっと見てたんだよ」 「見てた……」 「だって、視界に入るんだからしょうがないでしょ。榛名たち、なんだかんだ言って、よく一緒にいたし」  そんなに一緒にいた記憶はないので、四谷のなかで書き換えられている気はしたのだが、「そうかな」と頷くにとどめる。  四谷に対して昔のような苦手意識を持っているわけではないのだが、思い込み激しいよなぁ、と思ってはいたので。ついでに言うと、高藤関連の話題で、下手なことを口にすると、また地雷を踏みかねない、という懸念もあった。 「そうなんだってば。それで、まぁ、……なんというか、勝手に苛々してたんだけど。八つ当たりして悪かったとは思ってる」 「いや、……それはいいんだけど。俺も態度良くはなかったと思うし」 「まぁね」  なかなかだったよね、と口元に笑みを浮かべた四谷が、組んでいた指を組み替えた。迷うようにその指先に視線を落としてから、再び顔を上げる。

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