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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 10-4
「だから、実は、ちょっとだけ違和感があったんだ」
「違和感?」
「うん。高藤は榛名のこと好きだと思ってたよ。でも、恋愛感情なのかなぁって言うと、どうなのかなぁとも思ってた。榛名はさ、高藤のこと好きだった?」
「……」
「それで、今は好き?」
その問いに答えることはできなかった。沈黙を気にしたふうでもなく、四谷は続ける。
「俺、榛名は成瀬会長のことが好きなんだと思ってた」
「それは……」
そうだったと答えたらいいのか、それとも、今もそうだと答えたらいいのか、あるいは、そんなことはなくて、ただの憧れだと言えばいいのか。わからなくて行人は言い淀んだ。
いつか話せるようになったら聞いてほしい、と成瀬に頼んだときから、自分のなかの感情は変化していない。まだはっきりとまとまっていないのだ。
だって、あの人に焦がれていた時間は、もう随分と長かったから。
「それで、高藤は……なんていうか、いいやつでしょ。で、会長とも寮長とも親しいでしょ。だから、なんていうのかな、場を収めるために、榛名とつがいの契約をしたのかなって思ったんだけど」
無意識のうちに、ぎゅっと手を握りこむ。推測を述べる四谷の声にも抑えきれない力みが籠っているようだった。
「よく考えたら、そんな大切なこと、そんな理由ではしないよね。だから、もしかして、そういう協定を結んだのかな、とか思ったりもして」
否定することさえできずに、行人はうつむいた。四谷がまっすぐに尋ねてくれていることがわかったから、だから――。
ふっと吐息のような小さな微苦笑が空気を震わせた。
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