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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 10-6
「本当、性格悪い。だから、高藤も俺のこと嫌いなんだろうな」
「そんなことない」
半ば反射で、そう否定する。
「今だって、四谷はちゃんと言葉選んでた。言おうと思えば、ぜんぜんもっと言えるのに、……それに、そうやってちゃんと謝ってくれるし、だから性格悪いとは思わないよ。思ったことがないとは、言わないけど」
「なに、それ」
呆れたように笑って、四谷が顔を上げる。泣き笑いのような瞳をまっすぐに見つめて、行人は言った。ないがしろにしたくなかったのだ。
「ごめん」
「え……、ごめんって、なんで榛名が謝るの」
「その、四谷の言うとおりだから」
ないがしろにしたくない、なんて。さも四谷のためみたいなことを思っているけれど、嘘を吐くことに自分が耐えられなかっただけじゃないか。言うことで巻き込むことになるだけじゃないか。
その可能性もちゃんと頭にあった。でも、伝えたかった。
「ちょっと話は戻るんだけど、四谷に望みがあるのかどうかは、俺にはわからない。決めるのは高藤だし。……でも、俺たちは、そういう取り決めをしただけで、本当のつがいってわけでもないし」
四谷が言ったように高藤が自分のことを好きなのかも、わからないし。後半は胸の中でだけ呟いて、行人は言葉を継いだ。
「ほら、これも、四谷の言うとおりで、あいついいやつだからさ、引き受けてくれて、でも」
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