667 / 1072

パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 10-6

「本当、性格悪い。だから、高藤も俺のこと嫌いなんだろうな」 「そんなことない」  半ば反射で、そう否定する。 「今だって、四谷はちゃんと言葉選んでた。言おうと思えば、ぜんぜんもっと言えるのに、……それに、そうやってちゃんと謝ってくれるし、だから性格悪いとは思わないよ。思ったことがないとは、言わないけど」 「なに、それ」  呆れたように笑って、四谷が顔を上げる。泣き笑いのような瞳をまっすぐに見つめて、行人は言った。ないがしろにしたくなかったのだ。 「ごめん」 「え……、ごめんって、なんで榛名が謝るの」 「その、四谷の言うとおりだから」  ないがしろにしたくない、なんて。さも四谷のためみたいなことを思っているけれど、嘘を吐くことに自分が耐えられなかっただけじゃないか。言うことで巻き込むことになるだけじゃないか。  その可能性もちゃんと頭にあった。でも、伝えたかった。 「ちょっと話は戻るんだけど、四谷に望みがあるのかどうかは、俺にはわからない。決めるのは高藤だし。……でも、俺たちは、そういう取り決めをしただけで、本当のつがいってわけでもないし」  四谷が言ったように高藤が自分のことを好きなのかも、わからないし。後半は胸の中でだけ呟いて、行人は言葉を継いだ。 「ほら、これも、四谷の言うとおりで、あいついいやつだからさ、引き受けてくれて、でも」

ともだちにシェアしよう!