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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 10-7

 そこで、また詰まってしまった。 「っ、……でも」 「でも?」  しかたなさそうに繰り返されても、行人は言えなかった。しばらくの沈黙のあとで、「いいよ」と四谷が苦笑をこぼす。 「言わなくても、知ってるから」  嘘を言っている顔でもはったりを言っている顔でもなかった。ごく自然とした指摘に、まじまじと凝視する。その反応にだろう、四谷が軽く噴き出した。 「だって、わかるもん」 「なんで」 「わかるんだよ、見てたから」  最初と同じ台詞を選んで、四谷は話を終わらせた。 「ありがとね、俺の愚痴聞いてくれて」  行人の告白にはいっさい触れないまま、席を立つ。 「これ以上遅くなると、暗くなるし。前は、寮までの道を暗いと危ないなんて思わなかったのにね」  最近はちょっと気になっちゃうな、と窓の外を見ながら呟いた四谷に、うん、と行人は小さく頷いた。  そんなふうになっているとは思いたくなかったけれど、高藤にもあまり遅くならないほうがいいと言われていたのだ。  そのままふたりで教室を出て、校舎の外に出る。空はまだ明るかった。この時期はいいけれど、冬が近くなると夜が早くなる。それまでに落ち着いていればいいと思う。

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