だから、べつに皓太が悪いわけじゃないよ、と続いた台詞に、そうなんですね、と素直に頷きかけたところで、行人ははっと我に返った。 「来てなかったんですか、あいつ。というか、向原さんとさぼってるって、なんで」 「なんでかは知らないけど。俺が直接見たわけじゃないし。でも茅野が言ってたからふたりでいたことは事実なんだと思うよ。――どうかした？」 「えっと、その……あいつ今日午後からさぼってたらしくて」 「あぁ、らしいね」 　驚いたそぶりもなくあっさりと首肯されてしまった。 「知ってたんですか？」 「うん。これも皓太から直接聞いたわけじゃないけど、向原と一緒にいるっていう話のときにそっちも聞いた。茅野から」 「茅野さんの情報網っていったい……」 　どうなってるんだろう。そういえば、前にも成瀬さんやら向原先輩の無断外出をかなり正確に把握していたなんて話も聞いたような。おののいた行人に、成瀬がふっとほほえむ。 「あいつね、本当わりとなんでも知ってるから、敵に回さないほうがいいよ。あと、茅野の前で嘘吐かないほうがいい」 　気をつけようと心に決めていると、「まぁ、でも」となんでもないふうに言葉が続いた。 「行人は吐かないか」 「え、いや」 「それで、どうしたの？　俺になにか話したいことでもあった？」 「えっ……と」 　その流れで、そう聞いてくるのは、ちょっとずるい。