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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 10-16

 その戸惑いが表情に出ていたのか、また「大丈夫」と請け負われてしまった。 「俺でいいんだったら、ちゃんと聞くから。俺がここにいるあいだは、いくらでも甘えていい。前にも言っただろ」  覚えて、くれてたんだ。  甘えられるうちは、甘えたらいい。そう言ってもらった夜のことを、行人は忘れたことはない。この学園に入ったばかりで、ずっと気が張りつめていて、苦しかったころのことだ。  その言葉と笑顔にはじめて心が和らいだことを覚えている。ここでがんばってみようと、思ったことも。  だから、行人は「はい」と頷いた。どうしようもなくなる前には相談しようと思うけれど、それまではもう少し自分で悩んで考えてみてもいいのかもしれない。 「できたら皓太にも相談してやって。大丈夫。あいつ、人の話聞くの、俺よりよっぽどうまいから」 「……はい」  生じた間を笑ってから、でもね、と成瀬が切り出した。 「ひとつだけ俺が保証しとく。行人は卑怯なことはなにもしてないよ」 「え?」 「あれはね、どっちかって言わなくても、俺と茅野が卑怯だったの。あの騒動をこれ以上大きく広げないために、この学園の日常を維持するために、どうするのが最善かっていう観点だけで考えた。行人たちのことじゃなくて、全体の利を取った」

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