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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 10-17

 言われたことを脳内で噛み砕き切れないでいるうちに、さらりと彼が言い切る。 「だから、行人は悪くない」 「でも」 「もちろん、皓太もね。あいつもね、かわいそうなくらい全体が見えてるから、自分の意志より周囲を優先するところがあって。――でも、それも変わってきたみたいだけど」  新たに出てきた名前に、言いすがろうとしていたことを忘れて、成瀬を見上げる。 「そういうことでしょ。そのあいつが揉め事起こして授業サボるんだ。全体よりも大事にしたいものがあるってこと」  大事にしたいものが自分だと言われているみたいで、気恥ずかしさが募る。でも、否定しようとは思わなかった。  だって、知っている。成瀬が押す理由ではなかったとしても、少なくとも友人として大事に考えてもらっている。そのことは事実だ。  小さく頷くと、満足そうに成瀬がほほえんだ。 「ここから先は皓太と話したほうがいいと思うけど、俺は行人の変化も皓太の変化も、本当にすごくいいことだと思うよ」

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