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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 11-1
[11]
自分が大事にしたいものを守るためにはどうしたらいいのだろう。その問いに対する向原の返答は、身も蓋もなく――、けれど、いかにもあの人らしいものだった。
――まぁ、だからって実践したいかって言われると困るんだけどなぁ、ちょっと。
あの瞬間は、完全に頭に血が上っていた。悪手だった。反省はしている。次なんてものはなければいいと思うが、そういうわけにもいかないだろうから、次はもっと冷静に対応しようとも思っている。
人気のない放課後の廊下を教室に向かって歩きながら、皓太は小さく溜息を吐いた。五限だけ、どころか六限目もまとめてサボってしまった。荻原が適当な言い訳をしてくれていることを期待するしかない。
――でも、俺、本当、どっちかって言わなくても祥くん寄りの思考回路なんだって。
向原か成瀬かの二択で迫られると、間違いなく後者のほうが自分に近しいものがあるということは、誰に指摘されなくても自覚している。理論的だとか倫理的に正しい云々の話ではなく、あくまで感覚的に「近い」という話だ。
そう、だから、向原の言うこともわからなくはないのだ。いざ実践と言われると、ちょっと抵抗があるだけで。
……真似できるところだけでも真似たほうがいいのかな。
そんなふうに悩みながら教室のドアを開けたところで、皓太は「あれ」と目を瞬かせた。
「あれ、荻原、どうかした……って、もしかして待ってた?」
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