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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 11-6

 そんなことはないだろうとも知っていたけれど、これも口にはしなかった。言わないほうがいいと思ったからだ。 「だから、まぁ、ちゃんと話してあげなね。素直に口にできるかどうかは、ほら、榛名ちゃんだからわかんないけどさ。心配は絶対にしてると思うから」 「え、知ってんの? ……もう?」 「だって、絶対向こうの棟まで噂になってると思うよ。相手がハルちゃんだったしね。そうでなくても、最近はみんな噂するの好きだし」 「そうか。あいつ最近友達いるもんな」  中等部にいたころの榛名は、良くも悪くも噂とは縁遠いところにいた。自分が噂の対象になることが多かったせいもあるのだろうが、耳に入れないようにしている節が強かったのだ。  まぁ、噂話を交わすような友人がいなかった、というのも理由のひとつではあるだろうと思うが。 「まず間違いなくよっちゃんは知ってるだろうから、そこから聞いたと思うよ。あの子はね、本当に高藤の動向よく把握してるよ。愛だねぇ」  ネタに近いものがあると思っているので、皓太は軽く笑って受け流した。いつものことだ。なにか言いたそうな顔を垣間見せたものの、結局「報われないね」と同じ調子で荻原も笑った。  しばらくして寮の門扉が見えたところで、「あれ」と荻原がまた声をかけてきた。 「噂をすれば、榛名ちゃんだ。会長もいるけど」

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