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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 11-13

「じゃあ、向原さんは後悔しないんですか」  そう聞いたのは、高等部に上がってからの目まぐるしかった――さらに言うなら、精神的になかなかきついものがあった日々が脳裏に浮かんだからだった。  すべてとは言わないが、三分の一くらいはこの人に原因があると皓太は思っている。 「さぁな」  罪悪感のひとつもない調子に「さぁなって」とついぼやいてしまった。こういう人だとはわかっている。わかっているけれど。 「向原さんって本当……」  成瀬さん以外に興味ないですよね、と続けようとした後半を、皓太は呑み込んだ。なんとなく言わないほうがいい気がしたのだ。  けれど、しっかりと伝わっていたらしい。向原が小さく喉を鳴らす。どこか楽しそうな横顔を見つめたまま、そういえば、と皓太はいつだったか考えていたことを思い出していた。  ――ゼロか百かみたいなところがあるから怖い、か。  繰り返すが、悪い人ではないし、信用していないわけでもない。そうひどいことにはならないだろうと踏んでいたから、「精神的になかなかきつい」というレベルで済んでいたのだ。  それなのに、でも、と思ってしまう瞬間があったのは、向原にはそういう側面があることも知っていたからだ。  自分の手の中におさまらないくらいなら、消してしまったほうがよほどいいと考えているようなところ。

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