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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 11-14
――でも、たぶんだけど、祥くんはそういうところもぜんぶわかった上で、知らないふりしてる気がするんだよなぁ。
そうやって、なぁなぁに濁して、誤魔化していた、というか。そうする以外になかった、というところもあるだろうとも思うし、一概に責めることはできないけれど。
でも、と皓太はひとつ思い切った。向原と話したときにつかなかった踏ん切りを、榛名につけてもらえたのかもしれない。そうと決めたのなら、しないといけないことはいくらでもあった。
今までの自分が避けていたことも、腹を決めたのならひとつずつ手を付けていかないといけない。その中でも最初にやらないといけないことのために、皓太はその夜、寮の一番上の階を目指した。
目的の部屋のドアを叩く。そのノックに応じて出てきた人に向かって、はっきりと告げる。
「成瀬さん」
甘えたくないと思っていたのは、いわば自分のプライドを守るためだった。でも、それよりも大切にしたいものがあるとわかった今、使えるものはすべて使おうとそう思っている。
それが自分なりの決意のつもりだった。
「俺、次の会長選に出るよ。絶対ここを守るから、だからサポートしてほしい」
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