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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 0-13

 連続して嵐に巻き込まれた気分で半ば呆然としていると、茅野が苦笑気味に知らせてよこした。 「荻原が探してたぞ」 「え? あ」 「なんだ、忘れてたのか? あいつ、わざわざ寮にまで聞きに戻ってきてたぞ」  自分が忘れ物でもして寮に戻ったと推察して様子見に行ってくれたのかもしれない。それでいなかったから、こうして茅野まで出てきてくれた、と。 「それは、その、……すみません」  手間をかけてしまったという謝罪を、気にするなと茅野は軽く笑い飛ばした。 「ちょうどいい気分転換だ。だから、俺はいいが、……まぁ、荻原はあまり心配させてやるなよ。あいつはとんでもなく人が良いからな。胃に穴が開く」 「……気をつけます」 「まぁ、あいつのことは、あまり気にするな。感情的に行動するやつでもないしな。おまえになにかすることもない。馬鹿じゃないからな」  心配するなというふうなそれに、行人は少し迷った末に頷いた。高藤からも、そういったことを言われた記憶があったからだ。  だから、怖いと感じるのは、自分の本能による部分も大きいのだろうと思う。でも――。 「じゃあ、茅野さんは、誰が馬鹿だと思ってるんですか?」 「おまえは?」 「え……っと」  問い返されて、行人は言い淀んだ。茅野が言った「馬鹿」というのは、後先を考えずに動く、感情的な人間を指しているのだろうと思う。水城は、そうじゃない。けれど、なぜか頭に浮かんだのは、あの天使のほほえみだったのだ。

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