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パーフェクト・ワールド・レインxx-4

「俺のことが好きだったからでも、特別だったからでも、なんでもないよ」 「成瀬さん」 「自分と同じだって、本能で悟って。だから安心できてた」  行人の反論をすべて奪うように微笑む。完璧ないつもの顔。 「それだけ」  それだけ、であるはずがない。  そう感じているのは、きっと行人だけではない。けれど、この人は「それだけ」にしてしまうつもりなのだ。声も何も出ない。 「でも、皓太はそうじゃないだろ」  行人さえ関知していない何かを促すような声だった。優しいと言って何の誇張もない声だった。ずるい。ずるい。ひどい。 「ずる、い」 「そうだよ、ずるいよ。知らなかった?」  ようやく絞り出した台詞にも、その声は一切動じなかった。行人の知る、アルファの顔。 「ずるいから、皓太が俺に何て言ったか教えてあげようか」 「……え?」 「最後まで面倒を看てやるつもりがないなら、もっと早くに突き放してやれば良かったんだ」  沈黙を保った行人に、止めを刺すように彼が言う。 「俺もそう思う」

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