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パーフェクト・ワールド・ゼロⅣ①

[生徒会選挙編]  利用価値のあるものは最大限に利用して、利用価値のないものは切り捨てて。そうやって、自分にとって役立つものを集めることに水城は執心している。  それが、幸福な人生への唯一の近道だということをよくよく理解しているからだ。  大きな窓からは、明るい日差しが差し込んでいる。避暑地とは言え、外は酷暑に違いない。完璧に空調の効いた室内で、肌触りの良いシーツの上に寝ころびながら、お金って大事だなぁ、と水城はあたりまえのことに思考を馳せていた。  お金がない人間は不幸だ。お金がないと卑屈になるし、心にゆとりも生まれない。たとえば、アルファに捨てられ、金も愛もすべてを失い、見る影もなく落ちぶれていった母のように。 「いいなぁ、轟くんのおうちは。こんな素敵な別荘をいくつも持ってるんだもん」  親と妹は違うところに行ったから、ハルちゃんはなにも気兼ねしなくていいよ、と最初の日に言われたのだ。その言葉どおり、自分たち以外には、余計なことはひとつも言わない使用人しかいない。本当に金持ちというのは優雅なものだ。その恩恵にあずかっているあいだは、ありがたい限りではあるけれど。  だから、水城は存分に感謝を示してほほえんだ。 「そんなところに連れてきてくれてありがとう、轟くん」  欲しいものを手にするために、気持ちのいいセックスという代価を渡してはいるが、感謝の言葉と笑顔も惜しまないことにしている。  媚びているように、あるいは、下手に出過ぎないように、かわいく健気に映る最善のバランスを常に意識して。そうしてやっているうちは、「かわいいハルちゃん」が大好きなアルファは水城から離れない。

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