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パーフェクト・ワールド・ゼロⅣ④
「副会長って、向原先輩のことだよね」
「そう、向原先輩。そのころも、今の生徒会の人たちがトップ張ってたからね。それで、副会長の家なんだけど、けっこう怖いんだよ。会長のところは、……なんていうか、派手だから目立ってるけど、怖いで言えば、副会長のところのほうが格段に怖い」
「怖いかぁ」
曖昧にぼかされた表現を、くすくすと笑う。
「お金持ちの人たちも大変なんだね」
「まぁね。それぞれの繋がりってやつがあるから」
まんざらでもない様子で、同級生はさらなる詳細を話し始めた。聞いて損はない話だと、興味津々の顔を崩さないまま、うん、うん、と頷いてみせる。
「会長のところは、言っても、本家じゃないから。あそこの本家は、ちょっと怖いけど」
「そうなんだ」
「そう、そう。ハルちゃんは編入組だから知らなくてあたりまえなんだけど、俺らの二個下に、いるんだよ。その成瀬の本家の三男坊。あれはちょっと会長とは違う意味で怒らせたくない人種だな」
「へぇ」
その情報自体は耳にしたことはあった。あまり興味が湧かなかったから、顔を見に行こうとは思わなかったけれど。
「会長と似てるの?」
「どうかな。年も離れてるし、あんまり仲良いって話は聞いたことないな。というか、どっちの口からも、お互いのこと話してるところ聞いたことないし。従兄弟だって思ってみたら似てなくはないけど、正直、雰囲気だけで言えば、会長と高藤のほうが似てる気がする」
そう笑ってから、ふとその同級生が笑みを引っ込める。
「俺の従兄の話のほうはバレたらまずいから、秘密にしてくれる? 親にも、頼むからあそことは揉めるなって念押されてるんだよ。俺も退学にはなりたくないし」
「もちろん」
にんまりと唇を笑ませたまま、水城は肩を寄せた。
「もちろん、秘密にする。僕と轟くんのふたりの秘密だね」
でも、と飛びきりの甘えた声で囁く。
「せっかくだから、その話、僕もっと聞きたいなぁ」
これはきっと、まちがいなくとても有意義な秘密になると内心でほくそ笑みながら。
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