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閑話「プロローグ」㉓
「まぁ、いい。頭に血の上った連中は、適当に押さえといてやるよ。バランスはまた取ってやる」
だから、と本尾は言った。
「今度また本気で一回殴らせろよ」
「またそれか」
「好きなんだよ、殴り合い」
呆れた態度を取っても、本尾は変わらなかった。嘲るように続ける。
「その程度で確かめる気が起きなくなるなら、安いもんだろ」
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「成瀬、か」
面倒だという顔を隠しもせず、本尾との騒動の顛末を聞き終えた最後に、茅野はそう呟いた。窺う視線を無視していると、今度はあからさまな溜息を吐く。
「さっきも言ったが、本尾と喧嘩をするのはどうでもいいと言えばどうでもいいんだ。おまえに限って、事情もなくはしないだろうからな。目立つ場所でやるから、こうはなっているわけだが」
生徒会と風紀の後始末を、なんで寮生委員会がやらないといけないんだ、と言いながらも、そう腹を立てている様子でもなかった。
ただ心底面倒なのだろう。寮の相談室の机を叩いていた指先を引っ込めて、もう一度溜息を吐き出す。
「その喧嘩……、本尾とのじゃないぞ。成瀬だ。成瀬との喧嘩は、いつ終わるんだ。そっちのほうが正直なところ迷惑だ」
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