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閑話「プロローグ」㉔

「だろうな」 「わかっているなら、もうちょっと協力しようという気はないのか。ただでさえ、最近は空気が浮ついているというのに。……半面、うちの寮はなぜか通夜のようになっているわけだが」 「楽になっただろ、問題児がいなくなって」 「そういう問題じゃない」  うんざりとかぶりを振ってから、「前にも言ったが」と茅野が口火を切った。 「やりすぎだ。そもそも、おまえ、あのとき、救護室でなにをしていた? あいつらは、気味の悪いくらいなにも言わなかったんだが」 「べつに? 生徒会の人間として、話をしてただけだ。寮内のこととは言え、さすがに目に余ったからな」 「おまえにそういった責任感があるとは思えんが」 「おまえこそ」  真面目くさった顔を一瞥して、向原は笑った。 「わざと自分が不在の時間置いただろうが」 「人聞きの悪い。省みる時間を与えただけだ。まさかおまえが話し合いを試みるとは思わなかったのでな」 「よく言う。ドアも開けれたくせに、開けなかっただろ」 「そんなことはないぞ。まぁ、言ったとおりで、あいつらは最後までなにも言わなかったからな。おまえが黙っている限り、誰にもわからないということだ」  いっそ清々しいくらいに、茅野が言い切る。とんだ茶番だ。 「寮長として解明しておいたほうがいいかとは思ったが、おまえに言う気がないならしかたがない。闇の中だな」

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