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パーフェクト・ワールド・レインxx-12

「できるだけ早くつがいをもった方が良いと言われているのは、そういうことだよ。服用期間は短いに越したことはない。もちろん、――どちらも、決めるのは行人だとは思うけど」 「だから。榛名はその相手は祥くんが良いと思ってたんじゃないの」  そうだったとしても、断ったと言うなら、意味はないのかもしれないが。 「どっちにしろ、俺にはどうともできない」  と言うよりかは、どうにかしてはならないのだとも思う。自分が曲がりなりにもアルファである以上、あの空間に踏み入るわけにはいかない。  苛立ちを溜息と一緒に押し流して、そう告げる。それしかできないと分かっていたし、そうあるべきだとも理解していた。  自分で自分の感情を制御できない状態なんて、恐ろしすぎる。 「行人が落ち着いたら、話したら良いよ」  何を考えているのか分かっていないはずがないのに、そんなことを言うのだから、やっぱり性質が悪い。 「皓太に任せる」  こちらの返事を待ちもせずに離れていった背を見送って、皓太はずるずると壁に体を預けた。  やっていられない、と思うのに、ここを離れると言う選択肢を取れない。 「何を話せってんだよ、俺に」  どちらにせよ、今まで通りではいられない。それだけはよくよく分かっていて、けれど、どうするべきかと言う答えにたどり着くのを恐れている自分がいる。  もう、噂では済まない。そうなったときに、この学園に、あいつの居場所は遺されているのだろうか。その壁に自分がなれるのか。  アルファだ、オメガだ。そう言った第二の性の話が大嫌いだった。けれど、そんなことを言っている場合では最早ない。  まだ、夜は始まったばかりだ。

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