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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 1-2
「というか、俺が出る予定だった会議、取られちゃって。だから本当に暇なの」
「取られる、ですか」
「そう、そう。篠原がこれ以上余計な火種つくるなってうるさくて。夏季休暇に入る前の会議でちょっとつついただけだったんだけど、それが気に入らなかったみたいなんだよね」
「え?」
「ごめん、嘘」
「……え?」
「嘘というか、冗談というか。皓太に経験積んでもらおうと思って、代わりに行ってもらっただけ」
良い反応するなぁ、と半ば感心しながら、生徒会室の鍵を開ける。
「あぁ、そっか。……そうですよね」
さすがに、皓太が会長選に出るという話のほうは聞き及んでいたらしい。
――そこは最低限よかったとしても、もうちょっと話してもいいと思うんだけどな。
あいかわらず、と言うべきなのか、行人が心配しそうなことは、ぜんぶ自分が呑み込んでいる雰囲気が見て取れる。
幼いころから構いすぎたせいか、もともとの生まれ持った性が、ふたつ年下の幼馴染みは、昔から精神的に大人びていた。同級生ではなく、自分たちといるほうが話も合っておもしろいという程度には。
信頼できる仲間をつくったほうがいい、と言ったとき、信頼できる仲間とやっていきたい、と皓太は答えた。その仲間の頭数に、本当の意味で何人を入れることができているのか。そのことが少し気になっていたのだ。
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