762 / 1072

パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 1-4

「相談って、友達のこと?」  喧嘩というわけではないけれど、自分がすごく卑怯なことをしている気がして、と浮かない顔をしていたことは、よく覚えている。  かわいそうなくらい真面目に考えているな、と思ったからだ。もう少し力を抜いたらいいのに、と感じたけれど、人の心と真剣に向き合おうとするのは長所なのだろうとも思う。  ――だから、というか、あんまり、俺、向いてないんだけどな。  もめごとを解決してほしいというのであれば、多少の役には立つと思うのだが。  とは言え、相談くらいならいくらでも乗ると請け負ったのは自分だ。ほかの誰かを頼ったほうが有意義な回答を得ることができる気はしているものの、かわいい後輩に頼られることが嫌なわけではない。  むしろ、自分ができることであれば、なんでもしてやりたいと思っている。人当たりの良い顔で、成瀬はにこりとほほえんだ。 「じゃあ、休みのあいだに考えたんだ?」 「はい。……考えたって言っても、本当にちゃんと考えられたのか、よくわかんないんですけど。でも、せっかくだから聞いてもらえたらなって」  相談した手前、経緯と結果を報告しないといけないと考えてのことだったのかもしれない。うん、と頷いて続きを待つ。返ってきたのは、すっきりとした答えだった。 「変に気にしすぎないようにすることにしました」

ともだちにシェアしよう!