764 / 1072

パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 1-6

「あ、いや……、でも、そうですね。でも、学園の外で、ここの人と会ったことって、今までなかったので」 「そっか。うん、まぁ、もしよかったらっていうだけだから」 「はい。あの、成瀬さんは?」 「ん?」 「休みはどうだったんですか?」 「ずっと家にいたよ。皓太も来てたし、それに一応、俺も受験生だしね」  そう苦笑して、成瀬は話を変えた。 「外では遊ばないにしても、新学期始まってからは、どう? ちょっと精神的にも負担が増えてきたかなって思ってるんだけど。あいつ、部屋で苛々したりしてない?」 「あ、……ぜんぜん。してくれてもべつにいいのに。高藤、そういうの態度に出さないんで」 「出してほしいの?」  拗ねているように聞こえて、そう問い返す。皓太が態度に出さないことなんて、あたりまえのことな気もするが。 「俺が頼りないからだ、っていうのはわかるんですけど」  不満のにじんだ調子で、でも、と行人が眉を寄せた。 「俺も一緒にするって言ったのに、なんか結局頼ってもらえてないみたいで、それがちょっと腹が立つっていうか……って、すみません。愚痴ばっかり」 「愚痴くらいぜんぜん聞くけど」  むしろ聞くことができてよかった、とも思っているけれど。生徒会室をさらりと見渡してから、そういえば、と口を開く。さも今思いついた、という調子で。 「中等部のころは、行人もよく来てたのにな、生徒会」 「あ、いや……、その、あのころは今よりも本当さらに遠慮がなかったというか。今思うとすみません」 「いや、それもぜんぜんいいんだけど。また遊びに来てくれてもいいのにって思っただけで」 「え?」  きょとんとした瞳に向かって、駄目押しのように成瀬はほほえんだ。 「行人も、生徒会手伝ってみる?」

ともだちにシェアしよう!