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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 1-15
「殴られるほうに問題があるみたいな言い方するの、どうかと思うけど。そもそも殴られてやるつもりもないし」
「……」
「なに。間違ったこと言ってないと思うけど、俺」
「そうかもな」
まったくそうとは思っていない調子だったが、成瀬は気に留めなかった。
まぁ、べつに、殴られるくらいのことで解決するものがあるのなら、受けても構わないのだが。
――でも、殴られる云々以前に、あいかわらず喋ってもないけどな。
まったく喋っていない、というわけではない。むしろ、生徒会室にいる時間が増えたから、一時期のことを思えばよく顔を合わせているくらいだ。
用があれば、ふつうに会話もする。ただ、必要のある話以外はなにもしていない。もちろん、ふたりになることもない。
――それに、なんか、顔合わせづらいっていうか。
顔を合わせづらいことをしでかした直後は、そこまでではなかったはずなのに。中途半端に長期休暇という空白を挟んでしまったせいなのか、今学期に入ってから、どうにもやりづらいのだ。
周囲には気づかれていないと思うのだが、本人には気づかれてしまっているかもしれない。なにも言ってこないから、気がついていないのかもしれないが。
――いや、気がついた上でどうでもいいって思ってる可能性もあるよな、あいつの場合。
なにせ、あの男は興味のないことにはまったくと言っていいほど関心を示さないのだ。とうとう愛想を尽かされたという可能性は大いにある気がした。
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