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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 1-18

「榛名だから、か」 「うん。いい子だから、すごく」 「……おまえがそんなふうに表現できるだけ成長したと取るべきなんだろうな、これは」 「なんだよ、それ」 「出会ったばかりのころより、随分とマシになったという話だ」 「マシって」 「だから、まぁ、なんだ。この調子で少しずつマシになっていけば、おまえの疑問が晴れる日もやってくるんじゃないか?」  中途半端に放り投げられた気分で、答えてくれないんだ、と呟けば、心外そうな顔を返されてしまった。 「答えてくれないもなにも、他人からの教示を素直に受け入れる懐なんて持っていないだろう」 「茅野、まだなんか怒ってる?」  言い方があまりにもあまりだ。確認に、茅野が淡々と否定する。 「怒ってはいない。若干、呆れてはいるが」 「……」 「とにかく、そういうことだ。人と関わる中でおまえが認めまいが変わってきていることは事実なんだ。だったら、そのおまえの疑問も、人と関わっていく中で実感していくしかないと俺は思うが」  諭すような調子に、実感、と成瀬は繰り返した。実感というのは、自分が誰かを好きになる中で、ということなのだろうか。  ありえない、とその可能性を即座に切り捨てる。そもそもとして、自分が体験したいという主旨の話をしたつもりはいっさいなかったのだ。知らず発した声に険が混じる。  こんな言葉遊びのような会話で、苛々なんてしたくもないのに。

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