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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 1-20

「そうする」 「ぜひ、そうしてくれ。――話は、まぁ、このくらいにしておくか。寮生委員の件については先ほど言ったとおりでもう少し考えるとして、寮長であるところの俺が、これ以上ここでもめごとを起こすわけにはいかないからな」 「よく言う」  伸びてきた手に軽く髪を触れられても避けなかったのは、害意が感じられなかったからだ。もうしないという意思表示だということもわかったから、動きを目線で追うことしかしなかった。 「悪かったな。そこまでの馬鹿じゃなくてほっとした」  そのくらいのことはわかる。なのに――。  なんで、自分のことなのに、よくわからない、なんて曖昧なことを思ってしまうのだろう。 「なぁ、茅野。一般論として聞きたいんだけど、怒る気にもならないときって、もう見捨ててるタイミングだと思う?」  いっそのこと見捨ててくれたらいいと思っていたのは、自分だったはずなのに。なんでこんなことを尋ねているのか。本当に、意味がわからなかった。 「……特定の個人に対してのみ当てはめて答えるが。見捨てる気があるなら、もっと早いタイミングで見捨てているんじゃないか。だから、なんだ。妙な心配をするのはやめておけ」  殴られるぞ、と冗談めかした苦言に、成瀬はよくわからないまま小さく笑った。

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