783 / 1072

パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 2-5

「でも、まぁ、さっきの過干渉の話だけど」 「過干渉?」 「そう。成瀬のあれ。前まではけっこう、皓太が嫌がってただろ。それであいつも一線引き直してるところがあったっつうか。バランス取れてた気がするんだけど。なんか、最近はどうせ卒業するまでって割り切ったのか、諦めたのか、皓太がわりと成瀬の好き勝手許してるだろ」  そうなったら、そりゃ、こうなるわなって、続いた台詞に、そうかもな、と向原は頷いてみせた。そうしてから、また視線を手元へと戻す。 「どうしたんだろうな。いや、べつに、使えるもんは使うって割り切る気になったっていうなら、それはそれでぜんぜんいいんだけど。実際、そっちのほうがいいと思うし」 「まぁ、選挙に出る気があるなら、そのほうがいいかもな」 「……おまえさぁ」 「なんだよ」 「わりと選挙合戦協力してやってるよな。正直ちょっと意外だった」 「ほかに通したいやつでもいたのか?」  事務処理を淡々と進めながら、顔も上げないままそう問い返す。返ってきたのは、どこか煮え切らないものだった。 「そういうわけじゃねぇけど。なんというか、成瀬ほどとまでは言わなくても、俺も、一応、皓太が小学生のころから知ってるし。まぁ、俺も春ごろに発破かけたはかけたんだけどな。あいつ、我が強くないから、と思って、ちょっと」

ともだちにシェアしよう!