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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 2-6
「根に持ってたぞ、成瀬」
「もう十分すぎるほど嫌味言われたっての」
悪かったとは思ってるんだよ、と弁明するのに、春先のことを思い出して、少しだけ向原は笑った。みささぎ祭が終わったころのことだ。
篠原も茅野も好き勝手に焚きつける、と珍しく愚痴をこぼしていたから、思うところはそれなり以上にあったのだろう。
それはさておいても、過保護だとは思うが。
「でも、その、なんだ。実際、こうなると、気の毒な気がしないでもないというか」
「気の毒、ね」
振り回されているという点においては、違いはない。苦笑ひとつで同意すれば、そうだろ、と呆れ半分憐み半分という感じで篠原が言葉を継いだ。
「うちの寮のほうも、休み明けて、まぁ……、少なくとも、表面上は多少は落ち着いたし。ついでに言うと、ハルちゃんも気持ち悪いほど大人しいんだよな、これが」
「根本的なところはなにも変わってねぇだろ、両方とも」
「それもそうなんだけど。表面上だけでも大人しくしてくれてたら、それはそれで目も瞑れるだろ。長峰と好き勝手してんのは、この際どうでもいいし」
だからってわけではないけど、と迷うような調子で苦笑する。
「なにも今すぐやらなくてもいいんじゃねぇのかなって。俺ら寄りの二年をあいだに挟んだら、一年楽できるだろ。そのあいだはこのまま補佐してたらいいし、問題がありそうだったらコントロールしたらいい」
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