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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 2-9
「あいつがアルファくらい簡単に転がせるって高括ってんの、おまえみたいなやつが多いからだろうな」
なんだかんだと言ったところで、この学園には自分より弱いものを痛めつける趣味のない、お上品な人間が多いということだ。水城は、そのあたりも織り込んでいたのだろうが。
「相手が誰だろうとお構いなしのおまえにだけは言われたくねぇ……。おまえ、そのあたりまったく躊躇ないもんな。あの茅野でさえ、成瀬の顔は殴りにくいって言ってたのに。おまえ、ぜんぜん平気でやりそう」
「話が違うだろ、それは」
「なにがどう違うって……、あ」
出た、と囁いて寄こす声は、完全に「ほら見ろ」と言っていた。遠目だが、見ればわかる。背の高い男子生徒と一緒に木陰でなにやら話しているのは、まちがいなく水城だった。
相手の生徒が前寮長でも目立つアルファでもなかったことが意外だったのか、「誰だ、あれ」と篠原が呟く。
「さぁな」
歩く速度を緩めることなく、おざなりに受け流せば、隣から突き刺さる訝しげな視線が強くなった。
「おまえ、もしかして、鉢合わせしたくてこの時間に生徒会室出たり……、マジか」
勝手にひとりで納得し始めているのを、「まさか」と一笑する。
「タイミングが合えば、話くらい聞いてやってもいいと思ってやってたってだけだ」
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