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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 3-2

「あぁ」 「あぁって。なんで、なんだそんなことかみたいな態度なの。成瀬さんが言ったら、榛名は絶対入るってわかってたよね。それ、榛名の選択でもなんでもないでしょ。強制っていうと語弊はあるかもしれないし、成瀬さんにどの程度のつもりがあったのかまでは知らないし、聞かないけど、やめてやってよ」  榛名にとっては、提案じゃなくて決定になるんだから、と、抱えていた不満を爆発させるように捲くし立てられて、苦笑いになる。 「なんだ、そっちか」 「そっちかって。だからなんで、そう他人ごとなの」 「他人ごとのつもりはなかったんだけど。お膳立てしすぎると皓太に嫌がれるぞって言われてたのになって思って」  なによりもまず物を申したかった内容が、行人の心情に関するものだったことが、どうにもほほえましかったというだけだ。  ……ということを言わないだけの配慮はあるつもりだったのだが、伝わってしまったらしい。バツが悪そうに皓太が眉を下げる。 「いや、まぁ、それも、思わなくもなかったけど。っていうか、茅野さんも、なんで寮生委員会からの引き抜き何度も許すかな」 「けっこう怒られたよ、本当。ひさしぶりに切れられた」 「えぇ……、それはそれでどうなの」  行人と違い、昔の茅野のことをある程度知っている幼馴染みは、若干引いた顔をしていた。

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