800 / 1144
パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 3-4
もろもろを呑み込んだような間のあとでそう呟いた皓太が、溜息をこぼす。
「というか、俺、べつに、そこまで学校とか教室とかの人間関係で揉めたことないと思うんだけど。……成瀬さんたちといるほうが楽しかったから、学校外でまで遊ぶようなやつはいなかったっていうだけで」
言い訳めいたそれに小さく笑ってから、成瀬はさらりと続けた。
「皓太はさ、ちゃんと話したほうがいいよ、いろいろ」
「え……」
「俺に言えた台詞じゃないけど、なまじできるからって、ぜんぶひとりで抱え込まないほうがいい」
今教えていることも、皓太なら問題なくひとりで運用できるようになるだろうし、次年度以降の生徒会メンバーにしても、中等部のときのメンバーに声をかけたら済む話ではあるのだろう。
それもすべて承知の上で、プラスアルファを望むのは、自分の勝手なのだろうが。
――似たことは、皓太に言われたような気もするんだけど。
夏の始まる前に、行人を引き合いに出して、たしかに言われた。そんなことを言うようになったんだな、と思えば、それもまたほほえましくはあったのだけれど。
「せっかく、一緒にがんばりたいって言ってくれてる子がいるんだから」
「それは、まぁ、そうかもしれないけど」
「だから、言った。『生徒会入る気ない?』って」
その言葉に、皓太が黙り込む。じっとこちらを見つめている瞳は、まだどこか物申したそうだった。
ともだちにシェアしよう!