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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 3-7

「それは――」  と、言い諭そうとしたタイミングで、生徒会室の扉がガチャリと開いた。 「あ、向原さん」  ぱっと振り返った皓太の声は、切り替えたらしくいつもどおりのものに戻っていて。しかたないな、と苦笑ひとつで視線を向ける。  用事の合間に立ち寄っただけ、という雰囲気で、立ったまま自身の机周りを確認していた向原が顔を上げた。 「どうかしたのか?」 「ちょっと休憩してただけ」  視線に気がついたから、という以外の他意のひとつもない、淡々とした問いかけに、同じように問い返す。 「向原は? またすぐ出るの」 「急ぐのもないだろ。そのまま戻る」  応じながら流し読みしていた書類の束を、また机上に戻している。本当に、すぐに出て行くつもりだったのだろう。  急いでやってほしいようなものがないことも事実で、おまけに、なにのために立ち回ってくれているのかも承知している身としては、そう言われてしまえば、返す言葉もない。  ――べつに、引き留めたかったわけじゃないけど。  忙しくさせているということについて、多少の申し訳なさは持っているものの、それだけのつもりだ。 「だからなんだよ」  視線が煩わしかったのか、苦笑まじりに向原がもう一度問いかけてくる。その視線は片づけている手元に向いたままだ。そのことに、なんとなくほっとしまま、笑って首を振る。

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