805 / 1144
パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 3-9
「……なら、いいんだけど。あの、成瀬さんさ」
「ん?」
「休暇中、向原さんと連絡取ったりしてた?」
「してたら、皓太に話してると思うけど」
あれだけうちに出入りしてたんだから、話題のひとつとして出すだろう、と匂わせれば、いや、まぁ、それもそうなんだけど、となんとも言い難い顔になる。
行人になにか言われたのかもしれないと予想がついて、そっと苦笑する。
まぁ、この幼馴染みからすれば、遊びに来たくて来ていたわけではなかっただろうから、言いがかり以外のなにものでもなかっただろうが。
「行人になんか言われた?」
「言われた」
ものすごく渋々と認めた皓太が、そこでまた溜息を吐いた。
「というか、なんで、そういうこと榛名に話すの」
「良いきっかけになるかなと思って」
「きっかけって……。本当、どうなってんの、成瀬さんのそのあたりの感性」
「どうもなにも」
持て余していることがありありと伝わってきて、小さくほほえむ。
「皓太と行人がいいようになればいいと思ってるだけだよ」
「だから、そういうとこが――って、なんだ。今度は篠原さんか」
「今度は俺かって、なに嫌そうな声出してんだ、皓太」
その言いようにか、入ってきた篠原が鼻白んだ顔をした。そのまま室内をぐるりと見渡して首をひねる。
「っつか、今度はってことは、向原来てたのか? 探してたんだけど、俺」
ともだちにシェアしよう!