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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 3-16

「言ってたな。まぁ、べつに、いいんだけどな、俺も。これもおまえが言ったとおりで、どうせ、あと半年だ」  あと半年、という言葉に、成瀬はまた小さく笑った。  物理的に家と距離を取ることができるあいだに変わればいい、と知った顔で示された隔離期間は、過ぎてみれば案外と早かったような気がする。残り少なくなったとは言え、気を抜くつもりはいっさいないけれど。 「まぁ、もし、またなにかあれば、あと一発か二発くらい鼻っ柱折ってもいいかなとは思ってるけど。俺たちが卒業したら、ここはある程度落ち着く。そうしたら、皓太で十分対応できる」 「それはそうかもな」 「だろ? とは言っても、実はめちゃくちゃ避けられてるんだけどね、俺。九月になってから、一回も水城の顔見てなくて」 「あぁ」  嫌そうな声に、寮で顔を見る以上の接触があったことを知る。 「なに言われたのか知らないけど、気にしなくていいよ」  強がっているつもりはひとつもなく、ただ本心だった。 「俺が気にしないから」 「おまえはな」 「うん。でも、そもそもだけど、俺が気にしないんだったら、それで問題ないと思うんだけど。違う?」  違わない、と篠原が思っているだろうということは知っている。余計な世話だと思っているが、まともな人間が有する気遣いなのだろうないうこともわかる。  そういうところが、篠原にしろ、茅野にしろ、真っ当なのだろうとも思う。

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