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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 4-6
悪いのは趣味なのか、とどうでもいいことを考えたまま、そうだな、と同じ相槌を繰り返す。概ね、そのとおりだったからだ。
嵐を起こそうとしたのは水城だっただろうが、それを増長させて、加速させているのは、本尾に違いない。
「どうせ、というと語弊はあるが、適当に焚きつけて面白がってるだけなんだろうが。時期が時期だからな。いろいろと、あまり大ごとにしたくない」
「選挙、ね」
「再来週には公示だろう。来月になったら、本格的に活動が始まる。高藤を通す手伝いはしてやると請け負った手前、ということもあるが。学内を無駄に荒らす気は俺にはない」
「おまえは、そうだろうな」
「そういうおまえは違うのか?」
それこそいろいろと手を貸してやっているだろう、と言われて、「べつに」と向原は失笑した。
学内のことも、選挙のことも、本当に心の底からどうでもいい。
「聞いてだろ、おまえも。そう取り決めただけだ」
「おまえの意志ではないと。随分とらしくないことを言う」
「……」
「それこそ、『べつにいい』んだけどな。こう言うと語弊はあるかもしれないが、おまえは確実な安全を取るだろう。そういう意味で信用してるんだ」
「随分とおまえに都合の良さそうな信用だな」
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