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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 4-13

「べつに……」  そのくらいわかっているとでも言いたいのか、それとも、おまえに言われる筋合いはないとでも言いたいのか。  それこそどちらでも同じことだった。遅れて浮かんだかたちばかりの笑みを一瞥して、吐き捨てる。 「外れるわけがないって本気で思ってるなら、馬鹿すぎる」  それが偽りのない本心で、だから、偽りしかない返事を聞く気にはならなかった。そのまま生徒会室を出る。校舎内を進んでいると、こちらに向かってきた篠原たちと目が合った。ちょうど戻るところだったらしい。その篠原が、中途半端に手を上げたところで、小さく目を瞠った。 「おお、お疲れ……って、おまえ、どうした?」 「べつに」  どうというほどのことでもない。ただ、ほとほとに馬鹿らしくなったというだけのことだ。  それ以上聞くべきかどうすべきか。すぐそばにいる皓太を気にして即断できないでいることは、明白だった。  溜息を呑み込んで、向原はなんでもないふうに言い足した。 「なんでもねぇよ」

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