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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 5-1
[5]
謝る必要なんて、なにひとつないはずだったのに。奇妙な罪悪感で、なにをどう言えばいいのか、わからなくなってしまった。
「二十四日だから、――って、そうか、もう明後日の朝には張り出されるんだよね、これ」
公印を押した書面をしげしげと見つめている幼馴染みに向かって、成瀬はそっとほほえんだ。
「緊張する?」
「どっちかって言うと、あっというまだなって思ってた。届出期間が終わったら、選挙活動が本格的に解禁になって、それでもう来月末には演説会でしょ。気づいたときには当日になってそうだな」
そう苦笑して、生徒会選挙を公示する文書をもとの場所に皓太が戻した。強がっているふうでもない調子で、さらりと続ける。
「このあいだはいろいろ言ったけど、やれることをやるしかないしね、結局」
「それはそうかもな」
「成瀬さんにもだけど、向原さんにもだいぶ助けてもらってる手前、俺ひとりの問題でもないし。ありがたく借りれる力は引き続き借りて、がんばるよ」
飛び出したもうひとつの名前に手を止める。そこまでじっと見ていたつもりはなかったのだが、もとの場所に戻したついでに、文書棚を片づけていた皓太が振り返った。
「ん、なに?」
「いや……」
あと十分は、誰も戻ってこない。なにの含みもなさそうな顔を見つめ返して、成瀬は問いかけた。
「皓太、向原になんか言ったりした?」
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