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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 5-6

「……そういうとこ、めちゃくちゃ自意識過剰にできてるよな、おまえ」 「違った? じゃあ――」 「おまえがっ」  声を荒げかけたことに気がついたのか、そこで一度長峰は言葉を切った。 「わざわざほかに生徒が大勢いるところで糾弾したことで、あの子がどういう状態になってんのか、わかって言ってんのか?」 「どういう状態」  煽ったわけではないのだが、いまひとつ意味がわからない。考えを巡らせるように、成瀬は首をひねった。 「このあいだも、元気そうに篠原たちと話してたみたいだけど。どうかした? 俺、新学期に入ってから、水城の顔、見てないんだよね」  ついでに言うと、元気に中等部のほうにまで遊びに行っているという話は聞き知っているのだが。長峰がまるで心配しているみたいな顔をする意味は、やはりよくわからなかった。  ――というか、むしろ、水城のほうに怒りの矢印が向いても、おかしくない程度のことされてると思うんだけどな。  寮長を解任されたことに対する怒りが自分のほうに向くのはまだわかるのだが、水城が違うアルファに媚びている現状に思うところはないのだろうか。 「元気なわけあるか、いいかげんにしろよ。そもそも、顔見てないもなにも、おまえのこと怖がって避けてんだろ、かわいそうに」

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