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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 5-7

「あぁ、そういう」  解釈もあるのかと素直に納得したのだが、火に油だったらしい。もともと注ぐつもりだったので、それはそれでいいのだが、「おまえのそういうところがものすごく腹が立つ」というようなことを言われてしまったので、一度方向性を変えることにした。ちょうど気になってもいたのだ。 「長峰って、そんなに本気で水城のこと好きなの?」  そんなことを聞かれるとは思っていなかったのか、対峙していた顔から、虚を突かれたように険が抜ける。その顔を見つめたまま、淡々と成瀬は続けた。 「正直、よくわからないな」  役に立つ相手だから、水城が気分が良くなるように転がしていた結果なのか。それとも、オメガとするのは、そんなにやみつきになるものなのだろうか。  それとも――、もっと純粋に、あの性格も含めて好きだとでも言いたいのだろうか。  黙って聞いていた長峰が、そこで小さく溜息を吐いた。先ほどまでとは違う、落ち着いた調子で応じる。 「まぁ、いい子だからな。おまえがどう思ってるかは聞きたくねぇけど、少なくとも、俺にとって」  ――いい子か。  まぁ、いい性格をしているとは思うが。どう思ってるかは聞きたくないと制されてしまっていたので、もうひとつ問いかける。 「好きだっていうのに、ほかの男と水城が寝るのはよかったんだ?」

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