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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 5-11
「やめておけ。さすがに向こうが気の毒だ」
半ば以上本心という調子に、しかたなく視線を向ける。
「茅野」
軽く眉を上げて応じた茅野が、窓枠に背を預けた。
「すれ違いざまに、偉そうな大口を叩くなら自分の寮の問題児をどうにかしろ、と怒鳴りつけられた俺のやるせなさはどうしたらいいんだ」
「だからごめんって」
「だからもなにも、今はじめて謝られた気がするが」
呆れたようにそう言ってから、それに、と茅野は続けた。
「本尾がそう言いたくなる気持ちはわかるぞ、俺は。あれだけあちこちで喧嘩を売ってたら、あたりまえだ」
「……」
「なにをそこまで手早く済ませたがってるんだ? 今回だけの話ではなく、それ以前からのことも含めて」
「べつに」
窓の外に視線を向け直して、呟く。アルファのこの男に、わかるわけもないことだ。
――適当につがいになってくれてたら、手早く済ませなくてもよかったんだけどな。
と告げて、無意味に殴られたくもなかったので、それなりにらしい言葉を成瀬は選んだ。
「好き放題言われたら腹立つことくらいあるよ、俺も」
「おまえが?」
「そうだよ、おかしい?」
「おかしいとまでは言わないが、向こうに聞いたらまったく逆の言い分が返ってきそうだとは思うな」
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