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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 5-13
「ついでに言うと、好きな理由は話聞いてもわからなかったけど、行動原理ならわかるよ」
「行動原理? 長峰のか?」
「そう。まぁ、わかるって言っても推測だけど。ああいうやつって、自分が好きな相手は守ってやりたいんだろ? 風紀とつるみ始めた理由もそれっぽいし」
「ああいうやつもなにも、たいていの人間は、好きな相手は守りたいものだと思うが」
「それがめちゃくちゃ傲慢ににじんでるって話」
アルファってそうだよな、と軽く言えば、おまえは自分のことを棚に上げすぎだという、うんざりとした返事。
もう一度笑ってから、成瀬は話を続けた。
「その前提で。自分の手から離れていったっていうショックもあって、でも、プライドが高いから本人には当たれない」
「それで、その当たりどころが原因の――まぁ、大本の原因はあいつらだとは思うが、俺とおまえになっていると」
「そういうこと」
にこりとほほえんで、茅野を見上げる。
「だから、わからなくはないよ。共感はまったくできなっていうだけで。でも」
「でも?」
静かに続きを促す声に、視線をまた外に向ける。休日であるせいか、窓から見る風景はいやに穏やかだった。
「怖すぎないか? あんな感情に振り回されるなんて。なにがいいのか、俺にはさっぱりわからない」
水城が入ってくる前、関係をつくった前後、そうして今。長峰の言動は著しく変わっているように、成瀬には見える。
良い方向にではなく、良くない方向へ。悪感情にまみれることが「人を好きになること」の顛末だというのなら、絶対にごめんだ。
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