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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 5-14
「おまえの口から『怖い』という表現が出たことに若干驚きはしたが、そうだな」
窓の外を一瞥してから、茅野がぽつりと問いかけてきた。
「おまえ、さすがに高藤のことは好きだよな」
「好きだよ。念のために言っておくけど、弟みたいなものとしてだからな? でも、そうだな。皓太のためなら、なんでもしてもいい」
「……聞いておいてなんだが、おまえの好きは重いな」
「そう? 行人のためにもできるよ。かわいいから。守ってあげないといけないって思うし」
「だから棚に上げすぎだと言ったんだ」
いかにもしかたなさそうに笑ってから、ふと思いついたように問い重ねてくる。
「興味本位で聞きたいんだが、俺のことはどう思ってるんだ、おまえ」
「嫌いじゃないよ。嫌いだったら、こんな話してないし、ある程度以上信用してる」
「じゃあ、篠原は」
「うん、嫌いじゃないよ。裏表ないし、俺のこと特別視しないからそういう意味で信用もしてるかな。あいつの価値観まともだし。良い指針にさせてもらってる」
「じゃあ、向原は」
どうなんだ、と問われて、成瀬は一瞬黙り込んだ。そうしてから、「嫌いじゃないよ」と同じ調子で言葉を紡ぐ。
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