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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 6-2
「いいのかもな、それも」
「……」
「本気でそう思ってたのかはわかんねぇけど、あいつ、いまいち気づいてなかったっぽいしな」
おまえの機嫌の悪さ、と言われて、向原は軽く笑った。
べつに、そんなものを主張したかったわけでもない。まぁ、あれは強いて言うなら――。
「見てないだけだろ」
考えるつもりがないから、正しく見る気がないというだけだ。余裕がないというよりも、そちらのほうが正しいと向原は踏んでいる。
「まぁ、余裕がなさそうとは俺も言ったけど。というか、その余裕のないっていうところについては、ちょっとおまえも心配ではあるんだけど」
「心配?」
「心配っつか、面倒になったっていうのが、なんつうか」
「べつに」
それ以上を問い重ねられても、言うつもりのあることはなにもない。だから、言及するなと告げるように向原は言い切った。
「なんでもないって言っただろ」
腹が立っていた、という感情もあったはあったが、今はそれを通り越して、呆れているに近い。
そういう意味で、心配されるようなことをするつもりはなにもなかった。
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