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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 6-3
――根本的なところがなにも変わらないからな。
なにをしたところで意味がないとまで切り捨てるつもりはないが、なにかを働きかけることがほとほとに面倒になったことは事実だった。
見ていないから気づかないのだと言ってみせたが、結局そういうことでしかないと向原は思っている。
もっとはっきりと言ってもいいのなら、思考が停止していると評してもいいくらいだ。だから、よりいっそう視野を狭くしているし、本来考えるべきことから目を逸らしてもいる。
そんな人間に、なにを言っても無駄だろう。だから、なにも言うつもりはなかったのだが。あまりにもあまりだったので、余計なことを言ってしまった。
短くなった吸いさしをもみ消して、新しいものを取り出す。隣からは、自分のものとは違う煙草の匂いが漂い始めていた。
嫌味ではなく、純粋に。視野狭窄に陥った人間の衝動性というものは、恐ろしいと思う。それが自分は問題ないと盲信している人間の場合は特に。
おまえは怒らないんだな、と茅野が言ったのは、必要以上に溜め込むなよ、と篠原のようなことを言ってみせたあとのことだった。
「意外かと言われると、そうでもないような気もするが。……なんというか、おまえにはなにかしら言われてもしかたがないと思っていたんだが」
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