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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 6-4

「言われたかったのか?」 「言われたかったわけではないが。あまりにもなにも言われないのも気にはなる」  苦笑まじりのそれに、べつに、とゆるく頭を振る。べつに、としか言いようがない、ということでもあったし、茅野に対して思うところはなにもない、ということでもあった。 「なにも思ってないからな、それも」  むしろ、倫理的にすこぶるまともな判断だっただろうと思っているくらいだ。他意もなにもないことが伝わったらしい。おまえのそういうところは、なんというか、まともだな、と茅野が笑う。  あたりまえだろうと呆れつつも、向原は続けた。 「そもそも、こっちが口出す話でもないだろ。……そういう意味で、腹立てる話でもないしな」  それがある程度理に適い、本人が納得して選んだものだとすれば。そこになにを言うつもりもない、というのは、本心だった。  だから、夏の一件のほうを知ったときは、心底呆れたし、腹が立った。タイミングが揃えば、いかにもやりそうだと納得してしまったことを含めて。 「まともだな、ものすごく」  安堵と揶揄が混ざった調子だった。 「まぁ、おまえは基本的に抑制が効いているから、たまには感情をぶつけてみてもいいとは思うが」

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