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パーフェクト・ワールド・エンド0-6

「それは……」 「それが、本物でも偽物でも」  その言葉に、行人ははっと顔を上げた。 「高藤は、見せかけだけの関係でも良いと言っている」  聞きたくないと思っていたそれが、寸分違わず脳に届いた。見せかけだけの関係。それに、あいつに何のメリットがある。何の……。 「そうなれば、今まで通り、二人で一緒だ」  今まで通り。そうであれるはずがないのに、なんでそんな選択肢を提示するのだと非難したくなった。呑み込んで笑う。笑えていたかどうかは分からないけれど。 「馬鹿じゃないですか、あいつ」  行人を見る柏木の視線が、困ったように揺れた。やはり、笑えていなかったのかもしれない。 「大事なんだろう、どう言う意味かさておいても。榛名のことが」  大事。大事。分かっている。そう言う意味で、あの男は誠実で、優しい。  ――おまえに、分かる訳がないだろう。  感情的に詰った行人にも、高藤は、必死に自分を抑えているように見えた。いつも冷静で、公平。  その高藤が自分に何の益もない提案を受け入れた理由。それは、行人が「今まで通り」が良いと願っていると。そう信じているからなのだろう。

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