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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 6-10
「……ま、それはそうかもな」
「でしょ。これは本当、昔からかわいがってもらってるんで」
あっさりとそう言ってみせていたが、それは事実だ。
榛名をかわいがるようになるまでは、性を自覚する前からかわいがっている唯一だから特別なのだろうと思っていたことも覚えている。
とは言っても、べつに、そのことに取り立てて文句もなかったのだが。
「そのことには、もちろん感謝してはいるんですけど」
「してはいるけど?」
歯切れの悪い言葉尻を繰り返せば、また困ったような顔をする。そんな顔ばかりだなと思ったものの、言いたいことが溜まっているのだろう。
しかたない、と、向原はもう少し付き合うことを決めた。
「あの、俺、実は、夏休みに入る前に、……成瀬さんに選挙に出るっていう話をしたとき、ちょっといろいろ思うところが重なってて、『ここをどうしたかったの』って聞いたんですよね」
「似非くさいことしか言わなかっただろ、あいつ」
どうせ、ここはみんなの学園だから、というようなことを言ったに違いない。その言葉に、うん、と皓太が苦笑半分で頷く。
「俺もちょっとそう思ったけど、でも、その、なんというか、前提として、俺、成瀬さんのこと信用してるし、好きなんですよ。誰がなんて言っても、……本人がなんて言っても、優しい人だと思うし、守りたい人なんだと思う」
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