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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 6-12
「それに、こんなもん、ただの代理戦争だ」
「え?」
「向こうは、わかった上で乗ってやってるだけだ。おまえのことを気の毒がってはいても、それ以上はないだろ」
続けてそう言い切れば、かすかに気まずそうな顔をする。そうして、取り繕うように微笑を刻んだ。その表情のつくりかたが、呆れるくらいあいつに似ていた。
「あの、向原さん」
「まだなにかあるのか?」
「いや、その、……俺が引き留めたこと、怒ってます?」
必要以上に、と言いたいらしい。その顔をじっと見つめてから、べつに、と向原は告げた。
べつに、言われるがままに生徒会室を離れたことを責めるつもりもなければ、邪魔をさせないように時間を稼ごうとしていたことを、どうのこうのと言うつもりもない。
「おまえには、なにも」
そう答えて、そのまま歩き出す。今度はもう声はかからなかった。
一番最初になにをどう考えていたのかはわからないけれど、と皓太は言っていたが、いいところ復讐だったのではないかと向原は思っている。
アルファへの、この社会への。あるいは、自分を捻じれに捨て置いた親に対する。
昔の成瀬は、そうだった。穏やかでいかにも優しそうなのは表面だけで、瞳の奥はいつもどこか冷めていた。
そのまま変わっていなかったら、きっと、今のここは、こうも荒れてはいなかっただろう。
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