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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 7-2

「茅野先輩と成瀬先輩の組み合わせってだけで、十分怖いですよ」 「そうかな。本尾と長峰の組み合わせもなかなかだと思うけど」  断り切れなかった、と尋ねる。嫌味のつもりはなかったのだが、困ったふうに苦笑されてしまった。その調子のまま、そういうわけではないんですけど、と否定する。その答えに、成瀬はほほえんだ。 「だったらいいんだけど」 「出るなら推してやるとは言われましたけどね。まぁ、それでも、決めたのは俺の意志なんで」  一応は、と言わんばかりのそれに、苦笑いになる。 「よかったの、それ」 「それは、まぁ、先輩たちの代理戦争に巻き込まれてるみたいで、気分良くはないんですけどね。あの人たち、成瀬先輩に一泡吹かせたいだけでしょ」 「そこまでわかってて、乗るんだ?」 「べつに、いいんですけどね。俺は、高藤でも。あいつやっぱすごいですよ。年下ですけど、素直にそう思いますし」  皓太を推すとはじめに伝えたことに対するフォローのつもりなのか、そんなふうなことを言ってから、でも、と呉宮は言った。 「俺が断ったら、あの人ら、もっとヤバいとこに声かけて焚きつけるでしょ。それはさすがにされたくないんですよ。先輩から見たら、俺の学年は突出したやつのいないつまらない集まりかもしれないですけど。俺にはそれなりの愛着はありますから。あんたらの代理戦争でむちゃくちゃにされたくないんですよ」

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