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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 7-7

「なに?」  呆れ切ったように笑って、また向原が一歩近づいてくる。 「前にも言ってやった気はするんだけどな、その馬鹿なプライドとっとと捨てろ。逃げたら死ぬとでも思ってんのか? ――まぁ、思ってそうだけどな、おまえの場合」  近づいてくる圧に、一歩足がうしろに下がったのは、ほとんど無意識だった。壁に背が当たる。顔に向かって伸びてきた指が、触れることなく拳に変わって、すぐ横の壁を殴った。その振動が直に響いた。 「おまえが考えてること、だいたいわかってるつもりだけど、言ってやろうか」  目を逸らさないでいると、壁に手をついたまま、向原がまた小さく笑った。吐き捨てるように。 「このあいだ馬鹿すぎるって言った話な。おまえ、なにも考えたくなかっただけだろ」 「……なにも考えたくなかった?」  ふつふつと再び湧き始めた苛立ちを自覚しながらも、静かに問い返す。アルファのおまえになにがわかるのかと言わなかっただけ、抑えたつもりではあったけれど。  知ったふうなことを言われることにも、本能のような部分で恐れを抱いてしまう自分にも、ひどく腹が立っていた。 「どう思ってくれてもいいけど、俺は、自分で始末をつけれないようなことをするつもりはないし、したいと思ったこともない」

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