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パーフェクト・ワールド・エンド1-3

「随分、櫻寮に都合の良い取り決めが出てきそうだけどな」 「そんなことはないぞ。お互い、公平に監視し合うことが一番だろう。もし今後、同じようなことがあった場合、そのオメガの生徒が所属している寮の寮生委員と風紀委員が必ず一人ずつ同伴する」 「共謀したらどうするんだ」 「そうなったら、両方の責任だろう。少なくとも、どちらか一つが風評被害を丸ごと被る羽目には陥らなくなると思うが」  風評被害と言う言葉にか、生まれた沈黙に、茅野が畳みかけた。 「おまえたちも本意じゃないだろう。風紀を守るためにオメガを排除しているだの、仕事にかこつけて襲っているだの言われるのは」 「風紀がまるで悪だとでも言うようなイメージを植え付けてくれたのは、会長様じゃなかったか?」 「そうだったか? まぁ、どちらにせよ、一度付いたイメージを払拭するのは難しいからな。分かりやすい善行を行うのも一興だろう。それで変われば良し。変わらなくとも、今以上の悪化はない」  嫌そうに眉を眇めてから、本尾が頷く。 「まぁ、良いけどな。ウチからすれば、重要な案件じゃない。誰がオメガだろうが、なんだろうが。学内の風紀さえ乱れなければ関係ないからな」 「そうだろうな」 「寮生委員会が主導しようが、それもどうでも良い。――が、それ相応の責任は取れよ」

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